都、低所得者の就労支援へ/脱「ネットカフェ」へ融資/訓練中は月15万円支給(朝日)

朝日新聞 2007年11月15日夕刊

 インターネットカフェで寝泊りしたり、リストラされて仕事を探していたりする低所得者に対し、東京都は来年度から就労支援策に乗り出す方針を固めた。職業訓練を受ける間の生活費として月15万円を支給するほか、「住居不定者」には住まい確保に上限60万円の無利子貸付もする。新たな貧困層への独自の支援策で、格差社会の改善に取り組む考えだ。(大隈崇)

 対象となるのは、定住場所の有無にかかわらず年収200万円以下の人たち。母子家庭で仕事のない人も含める方針だ。
 就労意欲があるかどうか、新設するサポートセンターや区市町村の窓口で審査。都が就職相談や求人紹介をする「東京しごとセンター」で希望や経歴をふまえて就労カウンセラーと訓練する職種を決める。職業訓練は3か月から半年で、その間、カウンセラーは就職支援もする。
 訓練中は1人あたり月15万円を支給。来年度は約3千人への給付を想定している。住居がないと生活が安定しないため、住居を借りる礼金や敷金などに60万円までを貸し付ける。就職が決まり、初任給が出るまでの生活資金などとして上限50万円の一時金を無利子融資する制度も設ける。
 厚生労働省によると、住居がなく、主にインターネットカフェで寝泊りする人は東京23区内で約2千人。20代や50代が多く、平均月収は10万7千円で、「仕事を辞め家賃が払えない」といった声が多いという。