地域の力で貧困解決を/湯浅さん講演(沖縄タイムス)

沖縄タイムス 2008年2月9日
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802091300_09.html

 地域から孤立した人たちの支援を考えるセミナー(県社協主催)が八日、県総合福祉センターであり、「ネットカフェ難民」問題をいち早く指摘した湯浅誠さん(自立生活サポートセンター・もやい事務局長)が講演。「貧困」が多様な形で広がっている状況を説明した。福祉関係者ら約二百五十人が参加した。

 湯浅さんは、日雇い派遣とパートの掛け持ちで、うつ病になった若者、小学生の息子と車中生活を送る中年夫婦、難病の家族を抱える六十代の兄弟四人が相談に来た事例を具体的に紹介。立場の弱い人ほど、会社が雇用保険を払っていない、生活保護を認められないなど、公的支援網が機能していない現状を指摘した。
 また、表に出ない「貧困」として、家族が支えているケースが多いとし、高齢者や児童への虐待、家族間犯罪の主な要因になっていると訴えた。

 一方、早めの支援で自立、地域復帰ができた例も列挙。「(行政、民間の各分野の)関係者が立場を超え、ほんの少し手を差しのべれば、社会全体でセーフティーネットの空白を埋められる」と述べ、連携強化を呼び掛けた。

 来場した在宅介護に携わる男性(27)は「高齢者の問題の背景に貧困が密接にかかわっていると、以前から感じていた。現状を行政や地域に伝え、一緒に考えるようにしたい」と話した。