年長フリーターの正規雇用、企業に助成金 厚労省方針

朝日新聞 2008年10月21日夕刊
http://www.asahi.com/job/news/TKY200810210189.html
(表「フリーターの推移」)

 厚生労働省は21日、雇用対策として年長フリーターらを新たに正社員として雇う企業に対し、1人あたり50万〜100万円程度の助成金を出す制度を作る方針を固めた。3年程度の時限措置とする。与党も同様の方針を固めており、政府が今月中にまとめる追加経済対策に、若者の雇用対策の目玉として盛り込む考えだ。

 厚労省案では、25〜39歳の年長フリーターや派遣などの非正規労働者を新たに正社員として採用し、1年以上雇った場合に、大企業には50万円程度、中小企業には100万円程度を支給する。対象は3年間で10万人以上を想定している。財源は雇用保険料などからなる労働保険特別会計でまかない、一般会計には影響が出ない。

 現在、同じような制度で、失業中の障害者や高齢者(60歳以上65歳未満)を雇った場合に大企業に50万円、中小企業には60万円を支給する「特定求職者雇用開発助成金」がある。今回の若者対象の制度では、特に経営が厳しい中小企業への支援策という意味も込めて、給付を大企業よりも大幅に手厚くする意向だ。

 厚労省は雇用創出とフリーターらの正社員化を進めるため、企業に対して最長3カ月間の「お試し雇用」中に1人あたり月4万円を支給する「トライアル雇用奨励金」などの施策を行ってきたが、今回、年長フリーターに重点を置く強い対策を打ち出した。

 25〜34歳の年長フリーターは、90年代のバブル崩壊後の就職氷河期に正社員になれなかった人たちが中心で、92万人(07年)にのぼる。ここ数年15〜24歳の若いフリーターが減少するなか、あまり減っていない。35〜44歳の不安定就労者も増え、07年は38万人と3年間で10万人増加した。

 今回の対策の背景には景気が後退局面に入り、雇用情勢の悪化も顕著になってきたことがある。8月の完全失業率(季節調整値)は前月を0.2ポイント上回る4.2%と06年6月以来の水準に悪化。また、雇用者のなかでも賃金が低く不安定な非正規労働者の数が年々増え、07年は1732万人と初めて全体の3分の1を突破した。(生田大介)