派遣村が「閉村」 約500人の「村民」は都内4カ所へ(朝日新聞)

朝日新聞 2009年1月5日
http://www.asahi.com/special/08-09/news/TKY200901050068.html

 「派遣切り」などで仕事と住まいを失った人たちに、昨年末から寝場所と食事を提供してきた東京・日比谷公園の「年越し派遣村」が5日午前、撤収を始めた。この日朝までに入村登録をした人は499人。多くは都内の公共施設4カ所へ移り、職探しや生活保護の申請をしながら生活再建を目指す。

 5日朝、霞が関厚生労働省講堂では「派遣村」を閉じる集会があり、約340人の「村民」が参加した。講堂は2日夜、同省が実行委の要請で開放。約250人が3日間宿泊し、雇用危機の深刻さを象徴する場所となってきた。

 村長の湯浅誠NPO法人自立生活サポートセンターもやい事務局長は「今日から本格的な生活再建が始動します。生活保護申請、アパート探し、職探し、それぞれ大変です。国も窓口を作ってくれますが、我々もバックアップします」とあいさつ。関根秀一郎・派遣ユニオン書記長は「500人だけの問題ではない。職、住まいを失い、路頭に迷っている人はたくさんいます。派遣村のような受け皿がもっと必要だ」と話した。

 開村から6日間で、約230人の村民が生活保護をファクスで事前申請。うち約100人が集会後、手続きのため、東京都千代田区役所が設けた臨時窓口へ移動した。

 一方、残った人たちは、この日通常国会が開会した国会周辺をデモ行進し「大企業はクビ切りをやめろ」「労働者派遣法を抜本的に改正しろ」と訴えた。終了後、議員会館で集会を開き、与野党に派遣切りへの対策を求める。

 その後、チャーターされたバスに乗り、中央区の閉校になった小学校2カ所や練馬区にある都の体育館、大田区にある都の労働者向け一時宿泊施設へ移る予定だ。