生活保護「国が全額を」大阪市要望へ 申請急増 今年度にも10万世帯

産経関西 2009年6月6日
http://www.sankei-kansai.com/2009/06/06/20090606-010752.php

 生活保護の受給世帯が全国最多の大阪市で、今年4月の受給申請数が前年同月に比べほぼ倍増の1・9倍となり、今年度中にも受給者が10万世帯を突破する勢いで推移していることが5日、分かった。このままでは財政が圧迫され、深刻な状況になるとして、市は平成22年度の国の予算への要望で、初めて保護費の全額国庫負担を厚生労働省に求めることを決めた。


 4月の市への申請数は3246件で、前年同月比で90・7%増加した。同月現在で生活保護を受給しているのは9万5489世帯。保護を受けている人は総人口の4・68%にあたる12万4149人で、全国の受給率(20年12月現在)の1・26%に比べ4倍近い比率となっている。


 生活保護費は支給額のうち国が4分の3、自治体が4分の1を負担。大阪市は今年度予算で、一般会計の15%にあたる過去最高の2443億円の生活保護費を計上した。だが今年に入っても受給申請は増える一方で、「歯止めがかかる兆しもなく、このままでは補正予算への計上も避けられない」(担当者)という。


 市は厚労省に対し、「非正規雇用の増加で失業が生活保護に直結し、年金支給額の低さなどを背景に高齢者の受給が増えている」として、国が生活保護制度の抜本的改革に着手するよう要望する。今後も自治体の財政負担の増加が続く場合は、ケースワーカーなどの人件費を含む費用を全額国庫負担とするよう求める。


 厚労省の集計によると、全国で生活保護を受給している人は3月時点で165万4612人。前年同月比では、約8万8千人増えた。


 20年度の月平均受給者数(速報値)は、推計で前年度比約5万人増の約159万人。13年連続で前年度を上回り、昭和40年度以来の水準となった。