生活扶助基準の引き下げ中止を強く求める

厚生労働大臣 舛添要一殿
厚生労働省社会・援護局長 中村秀一殿


2007年10月24日
 

全国生活と健康を守る会連合会
36期第4回全国理事会


 厚生労働省は、10月19日に「生活扶助基準に関する検討会(第1回)」(以下、「検討会」)を開催し、級地も含む生活扶助基準の「見直し」の結論を年末の来年度政府予算案の決定までに出すとしている。


(1)「検討会」は、「生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか否かを定期的に見極めるため、全国消費実態調査等を基に5年に一度の頻度で検証を行う必要がある」(平成16年12月の「生活保護制度の在り方に関する専門委員会報告書」)、「生活扶助基準について、低所得世帯の消費実態等を踏まえた見直し」及び「級地の見直し」(平成18年7月閣議決定の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」)にもとづき行うとしている。
 厚生労働省は、生活保護予算の削減を目的に、2002年度から物価水準の引き下げや低所得世帯との消費支出の比較をもとに、老齢加算母子加算、多人数世帯の基準額の削減・廃止など、戦後最悪の生活保護基準の引き下げを行い、生活保護世帯の暮らしを深刻なものにしてきた。「検証」をするのであれば、これらの基準引き下げはどうだったかの「検証」をまず行うべきである。(1)「健康で文化的に最低限度の生活の水準」とは何か、(2)生活保護基準以下で生活している人々、ワーキングプアの実態などについての検討がされるべきである。それを、生活保護基準以下の「低所得世帯の消費実態等」との比較で行われれば、大幅な生活保護基準の引き下げにならざるをえない。私たちは、さらなる生活保護基準の引き下げは絶対に認められない。ただちに、「引き下げ」を前提とした検討作業はただちに中止することを求めるものである。


(2)生活保護基準は、国民の「健康で文化的な最低限度の生活」(憲法25条)の水準を保障するものであり、国民の生活水準の土台をなすものである。「食事を1日3回から2回にした」「子供たちに人並みの食事や衣服を与えられなくなった」など、この間の老齢加算母子加算の削減などで、生活保護世帯の人間らしく生きる権利が侵害されている。そのことから、全国で110人以上の生活保護を受けている人が原告となり、「生存権が侵害された」として、8つの地方裁判所に提訴している。
 また、生活保護基準は、最低賃金や年金、住民税の課税基準などと連動している。国民健康保険税・料や介護保険料、公営住宅家賃などの減免制度、就学援助制度や公立高校の授業料の減免制度などの適用基準のもとになっている。生活保護基準が下がれば、これらの適用基準も引き下がることになる。生活保護世帯と国民生活に大きな影響を与える生活扶助基準の「見直し」について、私たちは次のことを要求する。

1) 貧困と格差をいっそう拡大する、級地「見直し」による基準引き下げと、生活扶助基準の引き下げはしないこと。
2) この間の基準引き下げの結果を「検証」し、老齢加算母子加算などを元にもどすこと。
3) 「検討会」では、生活保護を受けている人の実態を調べ、生の声も聞き、慎重審議を行うこと。

全国生活と健康を守る会連合会
http://www.zenseiren.net/osirase/kinkyu/oshirase071031.html