都市部減額、地方引き上げ 生活扶助見直しで最終調整(中国新聞)

中国新聞 2007/12/13

 厚生労働省は十三日、生活保護のうち食費や光熱費などの生活費に充てる生活扶助の見直しをめぐり、都市部と地方の支給額の格差を縮小させるため、二〇〇八年度から、全般的にみて都市部を引き下げて地方圏を引き上げる方向で最終調整に入った。

 生活扶助は物価の違いなどを反映して全国を市町村ごとに六段階に区分けしており、最も高い東京二十三区などの大都市部に比べて、最も低い地方は22・5%安くなっている。しかし厚労省は、現行の区分けによる支給額の差は実際にかかる生活費の違いよりも大きすぎると判断した。引き下げ対象となる場合は段階的に減額するなどの激変緩和措置も検討する。

 厚労省の検討会は十一月、生活保護を受けていない低所得世帯の生活費より、生活扶助が上回っている保護世帯があるなどとした報告書を作成。厚労省は生活扶助の引き下げを念頭に作業を進めてきたが、与党内でも「弱者に厳しい」などと慎重論があり、一律に引き下げることはしない。

 ただ地域間格差の縮小のほかにも、報告書は生活扶助が単身世帯よりも四人以上の世帯に有利になっている傾向があることなどを指摘。厚労省は生活扶助の見直しについて「いろんな要素を見なくてはいけない」(幹部)としており、多角的な観点から慎重に細かい調整を続ける方針。このため単純に都市部の受給者が減額され、地方で増額されるとは限らない面もある。