反貧困フェスタ 草の根ネットに連合会長も参加(アサヒコム)

asahi.com 2008年04月01日(写真あり)
http://www.asahi.com/komimi/TKY200803310281.html

 貧困をいかに伝えるか。東京でこのほど、約1600人が参加して開かれた「反貧困フェスタ」では、ワーキングプアの支援に力を入れる労組代表と、大企業中心の労組である連合の高木剛会長が意見を交わした。生活保護受給者の講演も開かれ、広がる格差や不安定な雇用の是正を求め、新旧の労組、当事者、支援者が声を上げた。(アサヒ・コム編集部)

 フェスタを主催した反貧困ネットワークは、これまでの労働組合にはない党派を超えた草の根の活動を展開している。昨年10月に結成。連合などナショナルセンターに属さない「独立系」労働組合や市民団体などと共に、「反貧困」という旗印の下、政府などに働きかけをしている。

 シンポジウム「労働と貧困」には、連合の高木会長、派遣労働者らでつくる派遣ユニオンの関根秀一郎書記長、個人で入れる労組の首都圏青年ユニオンの河添誠書記長が参加した。

 高木会長は「貧困問題の要因は多岐にわたる。政治家とのかかわり合いがある連合ができることからやっていきたい」と話した。

 また、高木会長は、大企業がグループ内に派遣会社をつくり人件費を削減する「専ら派遣」についても言及。「自分の会社で働かせるのなら、直接雇用をするべきだ。経営者のモラルが問われている」と批判した。

 河添書記長は「困窮している人ほどバラバラにされている。どう声をまとめていくかが課題」と述べた。

 関根書記長は、正社員と日雇い派遣労働者が一緒に組合を運営している、フルキャストユニオンの例を紹介。「すべての労働者が格差を無くすために連帯するべきだ」と訴えた。

 フェスタでは、事故で車いす生活になり生活保護を受けるようになった日笠方彦さん(47)の講演会も開かれた。

 視力を失い、片足、両手の指もほとんど無くした日笠さんだが、最初に生活保護の申請に訪れた役場の窓口で「働けないのですか」と言われたという。「貯金も底についていて途方にくれてしまった」と、その時の心情を吐露。「生活保護になっても、ワーキングプアになっても、明日を描けるようにするのが国の責任」と話した。