グッドウィル許可取り消し・廃業方針に関する声明

2008年6月25日

グッドウィル許可取り消し・廃業方針に関する声明

派遣ユニオングッドウィルユニオン

失業する労働者の救済〜日雇い雇用保険の遡及加入で「あぶれ手当」の受給を!

違法派遣や賃金不払など違法行為を繰り返してきたグッドウィルに対して派遣事業許可取り消し等の厳しい処分が出されるのは当然のことである。

しかし、1995年以降、違法派遣を繰り返しながら拡大してきたグッドウィルを放置したばかりか、1999年の派遣法改正によりグッドウィルが行う事業を合法化して急成長に拍車をかけた国の責任は極めて大きい。

もっと早くこのような違法派遣を取り締まっていれば、グッドウィルで働く労働者が数千人、数万人規模まで膨れ上がることはなかったし、許可取り消しによって大量の失業者を生み出すようなこともなかった。

また、グッドウィルで働く日雇い派遣労働者が日雇い雇用保険に加入していれば、失業しても当面は「あぶれ手当」の受給により当面の生活を凌ぐことができたはずだが、厚生労働省は、グッドウィルが日雇い雇用保険に全く加入させていない状態を承知しながら、それさえも放置した。

許可取り消しまたは廃業により、雇用を失い、生活の道を立たれる労働者の救済が何よりも優先されなければならない。

グッドウィルの許可取り消しでは低賃金・不安定雇用の問題は解消しない−派遣法の抜本改正を!

現在、グッドウィルが行ってきた港湾業務などの違法派遣は、日雇い派遣事業を行う同業他社に流れていっている。

つまり、グッドウィルの派遣事業許可を取り消しても、日雇い派遣が抱える違法派遣の実態、日雇い派遣労働者が抱える低賃金、不安定雇用、労働災害の多発の問題は解決しない、

舛添厚生労働大臣も「日雇い派遣の禁止」を口にするようになったが、今後は、派遣法改正の内容こそが問われることになる。

まず、日雇い派遣に象徴されるような劣悪な働き方の拡大は、1999年派遣法改正による派遣対象業務の原則自由化がもたらしたものであり、派遣法制定当初の趣旨に立ち返って派遣対象業務は極めて専門性の高い業務に限定すべきである。

「登録型派遣」が不安定雇用を生み出している。仕事があるときだけ雇用契約を結ぶ「登録型派遣」は原則禁止すべきである。ピンハネに歯止めをかけるためには、マージン率の上限規制も極めて重要だ。

そして何よりも、正社員と同じ仕事をしていたら同じ労働条件を義務付ける「均等待遇」の規定や、「細切れ契約」を禁止する規定など、派遣労働者の権利保護規定を盛り込むべきである。

グッドウィルユニオンは、グッドウィルの許可取り消し、廃業方針に関して下記のとおり声明する。


1、グッドウィル及びグッドウィルグループに、違法行為を繰り返しこのような事態を迎えた責任を取るため、労働者の生活を確保するための賃金保障を求める。

2、グッドウィル及びグッドウィルグループに、未返還のデータ装備費、集合時間からの未払い賃金、労災補償など、労働者に支払うべき賃金等の支払いや補償を求める。

3、厚生労働省に、失業する日雇い派遣労働者を救済するため、日雇い雇用保険に遡及加入させるよう求める。

4、労働者派遣法を抜本改正すべきである。具体的には…

(1)低賃金・不安定雇用・労働災害の多発を生み出す派遣制度の規制

・ 派遣対象業務の専門業務への限定

・ 登録型派遣の原則禁止

・ マージン率の上限規制

(2)派遣労働者の権利保護

・ 同じ仕事をしている派遣先労働者との「均等待遇」

・ 「細切れ契約」の禁止

以上

グッドウィル:廃業「こんなに早いとは」 派遣も正社員も不安と怒り

毎日新聞 2008年6月26日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/biz/news/20080626ddm041040086000c.html

 「予想はしていたが、こんなに早いとは……」。グッドウィル(GW)が派遣事業の廃業を表明した25日、同社で働く派遣労働者に不安の声が広がった。最近は同社から紹介される日雇い派遣の仕事が減っていたと言い、労働者は「計画的だったんだ。責任を取れ」と怒りをあらわにした。

 同社で日雇い派遣をしている労働者を中心に組織するグッドウィルユニオン(梶屋大輔委員長)を傘下に持つ派遣ユニオンは、東京都新宿区の組合事務所で会見した。関根秀一郎書記長は「長年グッドウィルの違法行為を放置してきた国の責任は重い。認可取り消しで職を失う派遣労働者たちの生活を保障し、劣悪な雇用環境をもたらした労働者派遣法を抜本的に改正すべきだ」と訴えた。

 一方、グッドウィルユニオンの梶屋委員長によると、GWが事業停止処分を受けた今年1月以降、日雇い派遣の仕事は徐々に少なくなり、グッドウィルだけに登録していては、生活するのが厳しい状況になっていたという。梶屋委員長は「許せない。(廃業に向け)計画的にやっていたのだろう」と怒った。【東海林智、夫彰子】

 ◇GWの合意退職、労組が反発
 労働組合「UIゼンセン同盟」と傘下でGW正社員を中心にした「JSGU(人材サービスゼネラルユニオン)」が25日会見し高石修・ゼンセン同盟副書記長が「労働組合を無視した経営側のやり方」と怒りをあらわにした。

 同日午後の申し入れ文書には一連の経緯のほか、「合意退職を申し入れたい」と書かれていたという。高石副書記長は「こうしたことは団体交渉を通じてまとめるのがルールなのに、『6月30日以降、出社に及ばず、7月末日で退職していただく』と、時間的余裕もない申し入れがあった。怒りを禁じえない。この一方的な申し入れは受け入れない」と語った。【樋岡徹也】

 ◇厚労省が対策本部
 厚生労働省は25日、グッドウィル雇用対策本部を設置した。大量解雇や雇用に大きな影響があることが予想される場合に設置される同本部は、2000年のそごう倒産以来の設置となる。同本部は(1)全国の労働局にGWの派遣労働者、従業員に対する総合的な相談窓口を設置する(2)ハローワークで個々の労働者のニーズに応じた職業を紹介する(3)労働基準監督署は廃業に絡む賃金不払いなどへの監督指導をする−−などを指示した。

グッドウィル廃業へ 二重派遣で略式命令

朝日新聞 2008年6月25日3時0分
http://www.asahi.com/national/update/0624/TKY200806240306.html

 人材派遣業などを展開するグッドウィル・グループ(GWG)は24日、7月末にも子会社の日雇い派遣大手グッドウィル(東京都港区)を廃業する方針を固めた。東京地検公安部が同日、労働者の二重派遣事件で、グッドウィルなど4社と幹部ら計8人を職業安定法(労働者供給事業の禁止)違反幇助(ほうじょ)などの罪で略式起訴、グッドウィルは同日、罰金100万円を納付した。厚生労働省は有罪が確定すれば派遣事業の許可を取り消す方針で、GWGは事業の継続が難しくなったと判断した。

 厚労省は「容疑は派遣許可の欠格事由に該当する」としており、許可が取り消されれば、大手では初めて。

 略式起訴されたのは、グッドウィルでは法人と上村泰輔・事業戦略課長(37)ら3人、港湾関連会社「東和リース」(東京都港区)と中山美行・同社長(61)ら2人、二重派遣先の港湾荷役会社「笹田組」(横浜市中区)と「太洋マリーン」(港区)両社とその幹部3人。グッドウィルの3人も罰金50万〜100万円を納付したという。

 グッドウィルは同日、東京簡裁から罰金の略式命令を受け、納付した。14日以内なら命令を不服として正式裁判を請求できるが、請求しなければ有罪が確定する。

 東京地検の発表によると、グッドウィルは06年5月から07年6月の間、東和リースが笹田組と太洋マリーンに労働者を二重派遣することを知りながら、グッドウィルEV(イベント)新宿支店の労働者を計51回にわたって派遣し、働かせていた。また、07年5〜6月、労働者を計23回にわたり東和リースに派遣する際、労働者派遣法に違反し、契約書類に記載が義務付けられた労働者の氏名をイニシャルだけで済ませたなどとされる。

 地検の調べでは、グッドウィル本社は売り上げを増やすよう支店に圧力をかけていたが、違法行為を指示したり、黙認したりするなどの行為は認められなかったという。