年越し派遣村へ続々、300人突破 厚労省が講堂を開放(朝日新聞)

朝日新聞 2009年1月3日
http://www.asahi.com/job/news/TKY200901020056.html

年越し派遣村」で行われた全体集会には、大勢の労働者たちが集まった=2日午後3時すぎ、東京都千代田区日比谷公園、小林正明撮影

仕事と住居を失った人への対応を求め、大村秀章・厚労副大臣(右)に緊急の申し入れをする派遣村湯浅誠村長(中央)=2日午後4時22分、東京・霞が関、小林正明撮影

日比谷公園内に並ぶ「年越し派遣村」のテント=2日午後、東京都千代田区、小林正明撮影

荷物を手に厚労省(奥)の講堂に移動する派遣労働者たち=2日午後8時20分、東京・霞が関、細川卓撮影

布団などの持ち物を厚労省の講堂に運び込んで休む元派遣労働者たち=2日午後8時53分、東京・霞が関、細川卓撮影

日比谷公園から厚労省の講堂に移動、布団を並べて休む元派遣労働者たち=2日午後10時52分、東京・霞が関、細川卓撮影

 「派遣切り」などで仕事と住まいを失った人を対象にした東京・日比谷公園の「年越し派遣村」に、労働者が続々と詰めかけてパンク状態となり、近くにある厚生労働省は2日、要請に応じて省内の講堂の緊急開放に踏み切った。約250人が講堂に移った。

 労働組合や市民団体などでつくる実行委員会の想定の倍近い約300人が集まり、用意したテントが足りなくなったため。昨年末から急激に切迫した雇用問題は、中央官庁が職を失った人を庁舎に迎え入れる異例の事態になった。

 大みそかの開村後、入村者は増え続け、2日午後6時現在で304人に達した。労働者らは午後10時半ごろまでに、実行委から支給された布団や身の回りの品を手に庁舎へ。5日午前9時までの滞在が認められた。

 昨年12月に派遣の仕事を解雇され、約3週間、都内の公園のトイレで雨露をしのぎ、派遣村に来た男性(53)は「やっとゆっくり眠れる」とほっとした表情を見せた。ただ、「国は、経済状況が悪くなれば、仕事がなくなる人が出ることを分かっていたと思う。もっと早く手を打っておくべきだった」と苦言を呈した。

 舛添厚労相は2日夜、「人道的観点から開放することにした」と説明、「政府として全力で自治体と協力し救済にあたる」と話した。

 実行委は同日午後、寒空の下に労働者が放り出されては命の危険があるとして、厚労省に施設開放などを申し入れた。実行委から相談を受けた民主党菅直人代表代行も駆けつけ、舛添厚労相らに電話で対応を要請した。厚労省側は、舛添厚労相大村秀章副大臣らが緊急避難的に講堂を開放することを決断した。

 派遣村は経済情勢の悪化で非正規労働者が一気に苦境に追い込まれる現実を象徴する場所になった。「厚労省の足元で起きている悲惨な状況に知らんぷり出来なくなったのだろう」。村長の湯浅誠NPO法人自立生活サポートセンターもやい事務局長は2日深夜の記者会見で行政の対応の遅さを批判した。