無料で住宅提供し就労支援 「希望館」事業(大阪日日新聞)

http://www.nnn.co.jp/dainichi/news/090421/20090421025.html
大阪日日新聞 2009.04.21

 就労を希望しつつも住まいをなくした人のために借り上げ住宅を無料で提供する「大阪希望館」(仮称)事業が5月中にもスタートする。住居がないために就労できず、結果としてホームレスにならざるを得ないという悪循環を断ち切ることが狙い。労働団体や市民団体、宗教団体が中心となって準備を進めている。

 「仕事さえ見つかれば、金をためて屋根のある生活に戻れるのに」。17日夜、大阪・キタで疲労感を漂わせていた男性(46)は日雇い労働者の街、大阪・釜ケ崎で仕事が見つからなくなったため出向いてきた。収入がないため住まいを失い、数日前から路上生活を送っているという。しかし、住居を喪失したことが次の仕事へ就くことをさらに困難にしている。

 ネットカフェなどに寝泊まりする不安定就労者の相談窓口としては、「住居喪失不安定就労者支援センター(OSAKAチャレンジネット)」(大阪市中央区)が厚生労働省の委託事業として昨年五月に開設された。ただ、現在は資金援助できない体制のため、住居の提供は各支援施設への誘導や民間のアパート経営者らの善意に頼っており、住所が確保できない場合は就職も難しいのが現状だ。

 大阪希望館は、住まいをなくした人への宿泊先や簡単な食事の提供、入所中の医療受診、就労相談、教育訓練相談など、「緊急シェルター」としての役割を担う。

 24日に、労働団体や市民団体、宗教団体などが集まり、第2回設立準備委員会を開催する。実際の管理・運営は大阪労働者福祉協議会とNPO「釜ケ崎支援機構」が担当する予定だ。

 参画を決めた連合大阪の運営計画案によると、利用は原則2週間までで、職業訓練の場合は訓練期間終了後2カ月まで。生活保護や自立支援センターへの入居など、公的セーフティーネットの利用を要望してから実際に活用できるまでの空白期間と、職業訓練を受けて自立できるまでの期間の二段階の支援を想定している。

 当初は五室の借り上げで5人への提供からスタートし、必要に応じて最大20室程度まで拡大する方針。5室の場合は約800万円、20室の場合は約3000万円の費用を見込んでおり、今後賛同する団体に広く参加・寄付を呼び掛けていく。