認可保育所、足りない(読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/mixnews/20090422ok01.htm
YOMIURI ONLINE(2009年4月22日 読売新聞)

不況で共働き 利用希望者急増

 不況の影響で都市部を中心に認可保育所の利用希望者が急増し、自治体は入所待ちの「待機児童」対策の見直しを迫られている。

 中には、緊急に認可外施設を整備した自治体もある。一方で保護者からは国や自治体に対し、早急な対応を求める声が上がっている。

独自に「臨時」整備

 東京都杉並区はこの春、認可保育所に入れなかった子どもの受け入れ先確保のため、区独自の「臨時保育室」9か所(定員計180人)を2009年度中に整備することを決めた。従来、計画していた認可保育所の定員増に加えての緊急対応で、1か所は4月半ばから運営を開始した。施設整備が7月までかかってしまう2施設についても、仮設のスペースを用意して4月半ばから受け入れをスタート。さらに2か所も5月までに運営を始め、残り4か所も順次開設する。

 区では、認可保育所への入所希望者が1797人で前年度の1386人から約30%増えた。臨時保育室は制度上は認可外施設となり、自治体が認可外施設を運営するのは珍しい。認可保育所に申し込みながら入所できなかった人から希望者を募り、区が入所の選考を行った。利用する保護者の一人は、「認可保育所に入れず、空きが出る見通しもなかったので、緊急に対応してもらえて本当に助かった」と喜ぶ。一方で、「まだ保育所に入れず困っている人がいる。行政の対応は遅いのではないか」との批判も聞かれた。

前年比で4000人増

 待機児童が増加する見通しとなっている兵庫県西宮市でも、保育所関連の整備計画の見直しを行った。今年3月、公立保育所3か所を民営化する従来の方針を見直し、公立保育所はそのまま維持した上で新たに民間の保育所を誘致する計画を作成した。「民営化より待機児童をなくすのが先決」(同市こども部)との考えからだ。

 待機児童を多く出しそうな自治体では、「保育所整備計画の前倒しを検討する」(東京都世田谷区)など、従来の待機児童対策の見直しを迫られている。

 景気悪化を背景に共働き世帯が増え、都市部を中心に今年4月からの認可保育所の利用を希望する人が急増。厚生労働省によると東京23区では、4月の申し込みが3万6138人で前年に比べ約4000人増えた。

家庭の死活問題

 保護者からは行政に対して早急な対応を求める声が上がっている。父親の子育て支援をするNPO法人「ファザーリング・ジャパン」(東京)は4月初め、東京・渋谷で待機児童解消を求めてデモ行進を実施した。保護者のネットワーク「保育園を考える親の会」(東京)では、「待機児童の緊急対策を考える部会」を発足。主要都市の待機児童対策の調査を行う。

 全国保育団体連絡会(東京)の事務局長、実方伸子さんは「共働き家庭にとって、子どもが保育所に入れるかどうかは生活に直結する重要な問題。行政には、緊急対策と同時に抜本的な待機児童対策を求めたい。国も自治体任せではなく、予算を増やしスピード感を持って対策に取り組んでほしい」と話している。