6/4新宿区ホームレス生活保護裁判(新宿七夕訴訟)

「ホームレス」だと生活保護を受けられないの? 〜アパートでごく普通に暮らす生活を求める裁判(東京)〜
事件名:新宿区ホームレス生活保護裁判(新宿七夕訴訟)

係属裁判所:東京地方裁判所民事第2部
事件番号:
平成20年(行ウ)415号 生活保護開始申請却下取消等請求事件
平成20年(行ク)146号 生活保護開始仮の義務付け申立事件

次回期日:6月4日(金) 午前11時30分〜 東京地裁103号法廷 *傍聴希望の方は直接法廷にお越し下さい。
終了後、報告集会を行います。6月4日(金)12時ころから弁護士会館(予定)。
紹介者:戸舘圭之
連絡先:ホームレス総合相談ネットワーク (代表:森川文人
担当弁護士 戸舘圭之
〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-42-4
代々木総合法律事務所
TEL:03-3379-5211  FAX:03-3379-2840

【訴訟の概要】
1  当事者 原告:新宿区で野宿生活を余儀なくされていた58歳の男性 VS 被告:新宿区 (代表者 区長中山弘子
2  提訴日 平成20年7月7日
3  請求の内容
(1) 生活保護開始申請に対する却下処分の取消し
(2) 生活保護開始決定の義務づけ及び生活保護費の支払い
(3) 仮の義務づけの申立て

【提訴までの経緯】
1 新宿区福祉事務所へ生活保護申請
原告は、野宿状態で困窮していたことから、本年6月2日に「ホームレス総合相談ネットワーク」の法律家、支援者らとともに生活保護申請をしようと新宿区福祉事務所の窓口を訪れました。
ところが、相談員は、生活保護申請をする意思が明確である原告に対し、執ように法外の制度である緊急一時保護センター等への入所をすすめ生活保護申請を直ちに受け付けようとはしませんでした。
原告は、自立支援センターではなくあくまで生活保護を申請し簡易宿泊所で待機後、アパート入居をめざす旨を支援者らとともに再三にわたり述べたところ、ようやく申請が受理されました。

2 生活保護申請却下
しかしながら、新宿区福祉事務所は、申請は受けつけたものの「急迫」を理由とする職権保護は行わず、そればかりでなく「調査」と称するさまざまな形での嫌がらせを原告に対し行ったあげく、「稼働能力を活用していない」という理由で生活保護申請を却下するという暴挙にでました。新宿区福祉事務所が言う却下理由は、いずれも生活保護法に照らし理由のないものです。

3 訴え提起
原告についてみれば、生活保護の要件を満たすことは明らかであり、直ちに保護が開始されなければならないのですが、いまだ保護は開始されていません。そこで、原告は、やむなく本訴を提起し、併せて 「仮の義務づけの申立て」 を行い緊急の保護を求めるに至りました。

4 板橋区福祉事務所では保護開始決定!
仮の義務付け申立ては、不当にも却下されてしまいましたが(現在即時抗告中)、板橋区福祉事務所は、8月25日、原告に対し生活保護を開始する決定を行いました。

【訴訟の経過】
2008年  
7月 7日 提訴
8月13日 仮の義務づけ却下決定
9月10日 第1回口頭弁論
11月 5日 第2回口頭弁論
2009年
2月20日 第3回口頭弁論
5月12日 第4回口頭弁論
8月20日 第5回口頭弁論
11月12日 第6回口頭弁論
2010年
3月11日 第7回口頭弁論
6月 4日 第8回口頭弁論(予定)

【前回期日の内容】
2010年月3月11日第7回口頭弁論
原告から第15準備書面、第16準備書面を提出。第15準備書面では、保護の実施機関には保護開始にあたり事実を調査すべき法的義務があることを論じています。
第16準備書面では、生活保護法4条1項の稼働能力活用要件についてのいわゆる 「3要素説」 について林訴訟地裁、高裁判決、実施要領を詳細に分析し、裁判所がとるべき判断基準について論じました。
また、憲法学者の笹沼弘志静岡大学教授、元CWで研究者の長友祐三埼玉県立大学准教授の意見書を提出しました。 加藤寛之弁護士から、今回提出の準備書面の概要などを説明する意見陳述が行われました。

原告が申請した自立支援センター等の施設の検証申請に対して、裁判所は、受命裁判官(右陪席裁判官)による施設の現地での進行協議期日を行うことになりました。
これは事実上、原告の検証申請を受け入れたことと同じです。今後は、期日間に日程を調整して裁判官が施設の現場を観に行くことになります。

また、原告から、以下の7名の証人を申請しました。
・湯浅 誠さん
・笹沼弘志さん
・長友祐三さん
・森川 清さん
・信木美穂さん
・志磨村和可さん
・新宿区福祉事務所相談員T氏(双方申請)
証人の採否については、次回以降決まることになります。

【訴訟の意義】
本件訴訟は、ホームレス状態を余儀なくされている人々に対し侮辱的、差別的な取扱いを行う新宿区福祉事務所の生活保護行政のあり方を問う訴訟です。

生活保護法は憲法25条に基づいて全ての生活困窮者に対し「健康で文化的な最低限度の生活」 を保障することを行政に義務づけています。にもかかわらず、多数のホームレス状態にある人が生活している新宿区において、ホームレス状態にある人々への生活保護制度の適用を事実上排斥していることは由々しき事態です。

本件訴訟は、単に原告ひとりの生活保障を実現するにとどまらず、背後に数万人はいるといわれる日本中の安定した住居を持たない人々への生存権保障のあり方を強く問うものでもあり、広く社会的意義を有するものと考えます。


【カンパにご協力ください】
三井住友銀行 麹町支店 普通口座 口座番号:8924234
口座名義:新宿生活保護裁判を支える会 会計 力丸 寛
ゆうちょ銀行  記号:10050  番号:91185431
名義:新宿生活保護裁判を支える会

連絡先
弁護士 戸舘 圭之(第二東京弁護士会
e-mail todate@yoyogi-law.gr.jp
東京都渋谷区代々木1−42−4 代々木総合法律事務所
http://www.yoyogi-law.gr.jp/index.html 
TEL 03−3379−5211
FAX  03−3379−2840 
blog http://blogs.yahoo.co.jp/yoshiyukitodate